妊娠中&出産準備

ラズベリーリーフティーは効果なし?科学的証拠エビデンスなど調べてみた

安産のお茶として人気のラズベリーリーフティー。陣痛の緩和・促進、産後の回復、母乳の出をよくする、生理痛や生理前症候群(PMS)、貧血などに効果があるとされている、まさに女性の味方のハーブティーです。

西洋ではメディカルハーブとして数千年前から利用されてきたのだとか。

私も妊娠後期から産後数か月、毎日飲んでいたのですが、どんな成分がどのように作用しているのか、科学的根拠(エビデンス)はあるのか、気になったので調べてみました。

そもそも、ラズベリーリーフティー効果は科学的に認められているのか?

結論から言ってしまうと、現在報告されている臨床データは、試験的で小規模な予備研究の段階で、科学的な証拠としては不十分なんだとか。

今わかっていることは、お産の時間が少し短くなって難産が減る可能性がある事と出産の痛みへの効果はないかもしれない事。でも、はっきり証拠になるほどのデータは取れていないということのようです。

一件、妊婦に対する効果が認められたオーストラリアでの臨床試験とその結果についての情報があったので紹介しておきます。

オーストラリアで行われた
二重盲検ランダム化プラセボ比較試験の試験方法と結果

健康な初産婦192人を2つのグループに分ける。

一方の96人にラズベリーリーフ抽出物1.2gを含む錠剤を1日2回、妊娠32週から陣痛開始まで飲んでもらう。もう一方のグループはプラセボ効果比較のためラズベリーリーフ抽出物は摂取しない。

結果、ラズベリーリー抽出物を飲んだグループに、子宮頚部が全開大してから赤ちゃんが生まれるまでの時間が平均9.6分短く、鉗子(かんし)分娩の割合が低い傾向(19.3% vs. 30.4%)が認められた。

このことから、ラズベリーリーフの経口摂取は、陣痛の緩和には効果がないことが示唆されているんだそうです。

これを見ると、出産の痛みには直接効果がないにしても、安産にはなりやすいと言えるんじゃないかと思うのですが、科学的根拠とするにはデータ量が足りないということなんでしょうね。

他にも、ラズベリーリーフティーを飲んだ妊婦は早産など妊娠中のトラブル、平滑筋のけいれんなどの発生が少なく、分娩が楽で、特に鉗子(かんし)を使用するような難産は少なかったという調査報告や、ラズベリーリーフサプリメントを服用していた妊婦に安産が多く、破水や帝王切開、鉗子(かんし)、真空吸引処置が必要な難産を回避できる可能性があるというオーストラリアの大学の調査結果などが紹介されていましたが、ソースが外国のもので私には探せなかったので真偽のほどは定かではありません。



ラズベリーリーフティーの成分とその作用は?

残念ながら、ラズベリーリーフティーの効果についてのメカニズムも解明されていません

ラズベリーリーフティーに含まれている主な成分がこちら。

  • タンニン
  • ビタミンB群,ビタミンCなどのビタミン類
  • フラガリン、アントシアニジンなどのフラボノイド(ポリフェノールの一種)
  • ペクチン
  • 鉄分、カルシウムなどのミネラル類

この成分は植物としては特別変わったものではなくて、ラズベリーリーフにだけ含まれる特有の成分は見つかっていないのだそうです。

なので、ラズベリーリーフに含まれる様々な成分が互いに作用しあって、効果を発揮しているのだろうと考えられています。

ラズベリーリーフティーに期待できる効果についてそれぞれ見ていきます。

子宮や周辺の筋肉を調整する

子宮を刺激する、子宮のけいれんをおこす、子宮とその周辺の筋肉を弛緩させるなどいろいろ言われていますが、子宮やその周囲や骨盤内の筋肉に作用して調整する働きがあるとされています。

ラズベリーリーフティーを飲むと、お産が楽になる、陣痛が早まるなどと言われるのは、この働きによるもののようです。

母乳の栄養価を高め母乳の出をよくする

ラズベリーリーフティーには、ビタミンやミネラルが豊富に含まれ母乳の質を上げてくれると言われています。

母乳の出については、次の生理痛、月経前症候群(PMS)と一緒に見ていきますね。

生理痛、月経前症候群(PMS)

女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)に似た作用を持つフラボノイドといえば、大豆に含まれるイソフラボンが有名ですが、ラズベリーリーフティーに含まれるフラボノイドも、このエストロゲン様作用を持つとされています。

エストロゲンの働き

  • 卵胞の成熟を促す
  • 受精卵の着床を助けるため子宮内膜を厚くする
  • 経管粘液の分泌を促す
  • 自律神経、感情の働きや脳の働きを整える
  • 妊娠中、乳房の中の乳腺を発達させ、母乳の分泌を抑える

ラズベリーリーフティーがこれらの働きを助けるため、生理痛や月経前症候群(PMS)に効果があると言われています。

母乳の出がよくなるというのも、このエストロゲン様作用のおかげで乳腺が発達しやすいからかもしれませんね。そういえば、姉の話なんですが「みそ汁を飲むと母乳がよく出る」と助産師さんにアドバイスされたので、毎日飲んだら逆に出すぎて控えるように注意されたとか。これも大豆のエストロゲン様作用のおかげだったのかも?

ただ、このエストロゲンは母乳分泌を促すプロラクチンを抑制して、母乳の分泌を抑えるという働きもあるので、プロラクチンが分泌される産後数日はラズベリーリーフティーを飲むのを控えたほうがより効きそうです。

私は知らずに産後もずっとお茶代わりに飲んでいましたが、問題なく母乳は出ました。効果がおだやかなので、母乳が全くでないということはないのでしょうが、念のため。

ちなみに、このエストロゲン様作用は、子宮内膜症、子宮筋腫、乳がん、子宮がん、卵巣がんなどのホルモン感受性が高い状態にある人は注意が必要だそうなので、ラズベリーリーフティーを飲む場合、お医者さんにご相談くださいね。

鉄分の補給、貧血予防

個人的に、ラズベリーリーフティーが効くとされているとされている効果の中で一番疑わしいのはここだなぁと思っています。

ラズベリーリーフティーに鉄をはじめとしたミネラルが含まれていますが、その吸収を低下させるタンニンも同時に含まれているからです。ラズベリーリーフティーを飲んでどれくらいの鉄分が補給されるかは、含まれるタンニンと鉄の量によるので定かではありませんが、貧血対策としてはあまり期待できないと思います。

効果があればいいなくらいで、鉄分の補給は食事(貝類、海藻、レバー、豆など)からとるほうがよさそうです。

整腸、軽い下痢止め、口内炎、歯肉炎、のどの痛みなど

これらの効果は主に、ラズベリーリーフティーに含まれる成分タンニンによるものです。

タンニンはたんぱく質と結合して組織や血管を縮め、炎症を鎮める収れん作用があります。これによって、炎症を起こした腸の粘膜に膜を作りへの刺激を和らげるので、整腸剤として利用されるのだとか。

また、ラズベリーリーフティーでうがいをすることで、歯肉炎や口内炎、のどの痛みなどの症状を和らぐのだそうです。



妊娠・授乳中にラズベリーリーフティーを飲むことは意味がないのか?

ここまで、私なりに科学的根拠(エビデンス)という視点からラズベリーリーフティーについて調べてみましたが、残念ながら、効果や有効成分、メカニズムについてもさっぱり何にも根拠になるものは見つけられませんでした。

では、妊娠後期にせっせとラズベリーリーフティーを飲んだ私の行動は意味がなかったのでしょうか?

漢方の西洋版、メディカルハーブとしての歴史と経験が証明するもの

メディカルハーブとは伝統的な植物療法の一つです。日本で植物療法としてなじみ深いのは、生薬を利用した漢方ですね。(漢方は植物以外も使いますが)

どちらにも共通していえるのは、生成された単一成分からなる医薬品と違って、植物に含まれる様々な成分が互いに作用しあって効果を発揮するということ。そして、天然の植物を利用するので成分の質や量をいつも同じにはできないということ。そのため、実験データや臨床試験結果にばらつきが出やすく、個々の作用メカニズムを特定することもとても難しいのだそうです

2000年のミュンヘンでの国際会議では、近代西洋医学で広く使用される臨床試験だけでは、伝統医学や相補・代替医療の科学的根拠を研究するには限界があるとの討議がなされた、とありました。

伝統医学や相補・代替医療は臨床データに乏しく、ともすれば科学的根拠(エビデンス)がないと誤解されがちです。しかし、現存する伝統医学や相補・代替医療の多くは、数百年から数千年の間に淘汰されてきました。経験として蓄積されたこの歴史こそがまさに科学的根拠を証明しているものといえます。

(引用:日本統合医療学会HP 統合医療におけるEBM)

ラズベリーリーフティーにも数千年にわたってたくさんの妊婦さんや女性がラズベリーリーフティーを飲んでその効果を実感してきた長い歴史と経験があります。

その経験や歴史を無視して、“科学的根拠を証明できない“というだけで効果がないと言ってしまうのは、残念な気がします。

もちろん、効果の出やすさには個人差があるでしょうし、自然のものなので、体質によって合わないこともあるのは確かです。効果の証明と同じく安全性の証明も難しいことから、注意事項を守る必要がありますし、飲みすぎも、過度な期待も禁物です。でも、「安産のハーブ」と呼ばれたその歴史と経験にあやかって、お守りにラズベリーリーフティーを飲んでみてもいいんじゃないかなと思います。

まとめ

私もラズベリーリーフティーの効果の体験者です。妊娠後期から飲みはじめ、予定日より2週間ほど早くに生まれました。びっくりするくらいの安産で、痛みも強烈にヤバい下痢といった感じでした。母乳の量もほぼ問題なく、産後数日以外はミルク足す必要はありませんでした。

もちろん、体質、食事、運動などの生活習慣やストレスなども影響するので、一概にラズベリーリーフティーのおかげだとは言えないのですが、初産の不安に何もしないではいられなかったので、せっせと飲んでいました。そういう意味では、私にとってはお守りでストレスの緩和にもなったと思います。

科学的根拠は不確かなラズベリーリーフティーですが、伝統医療として使われてきた実績を信じてみる価値はあると思います。自分の体質と口に合うか不安な方は、まずは少量から試してみてくださいね。

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参考

  • 国立健康・栄養研究所>素材情報データベースhttp://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1416.html
  • グリーンフラスコ株式会社>お役立ちサイトのデータベース
    http://www.greenflask.com/herb_db/detail.html$/herb_id/13/
  • 日本メディカルハーブ協会
    http://www.medicalherb.or.jp/aboutHerb.html
  • 日本統合医療学会>統合医療におけるEBM
    http://imj.or.jp/intro/ebm